映画クレヨンしんちゃんを全部見たので感想と評価

映画クレヨンしんちゃんを正月から見始め、未視聴はもちろん視聴済み作品も含めてハイグレ魔王~新婚旅行ハリケーンまで全部見た。
Twitterなどで一通り感想書いてしまっているがせっかくなのでブログにまとめて載せておくことにする。

早速だが以下の図は映画クレしんの私的ランクである。

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クレしん映画ランク

まずはこの図を念頭に置いて以降の文を読んでほしい。
これから先の文章で「サボテンライン」という痛い造語が度々出てくるし、Cがボーダーラインという評価指標が無いと意味不明な文面があるかもしれないから。
(というかSSSとか強さ議論スレかよ)

また、以降の作品の感想の順番は視聴順。
視聴順なのは、僕が感想貼り付けやすいのもあるが、感想の出力に結構視聴順が絡んでしまっているのが大きい作品(ハイグレ魔王などの初期作品)があるため。 作品名の横にはランクと公開年、初見か視聴済かどうかを記載。

  • SS:嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ(2004)初見
    本を閉じたり幕が下りたりする感じの、お話の"おわり"を掲げて終わるの卑怯だろと若干思っちゃうけど嵌ってるとやはり感慨深くなる。
    映画が終わり劇場から去り幕が下りエンディングはワルツ風のイントロはズルい!
    映画の中の人物である、外の世界に行くことができないし未来の無いツバキちゃんと踊りながら人生を歌った曲が流れるのも良い。
    最初にとてもハイレベルな映画見てしまった。

  • A:爆睡!ユメミーワールド大突撃(2016)初見
    「子どものためなら(親は)なんだってできる」というセリフで、これ”子を愛さない親はいない”で苦い顔する感じの方々がそのまま苦い顔する感じの……と連想したけど、でもよく考えなくても映画クレしんのひろしみさえはいつもこんなもんなイメージあるし今更感はある。
    ただそういう説教するのならみさえがさきちゃんに直接言うんじゃなくて、誰を不幸にしようと構わないその言葉通り子どものためならなんだってする覚悟あったさきちゃんの親父さん(名前忘れた)経由でやってあげた方が良かったかもなと思った。
    ”母の愛”の成分のために(最後のさきちゃんの母に被さるシーンのために)みさえにやらせたんだろうけど、その説教のとき言ってた「好きで嫌われ役やってんじゃない」ってところで、さきちゃんの親父さんも子どものために悪役嫌われ役になってたじゃんという。
    良いところを言うと、さきちゃんと春日部防衛隊が仲直りしたあとで夢の中に入る装置使わずに友情パワーでさきちゃんの夢の中に入るってシチュエーションは普通に燃えた。それ言い出したのがねねちゃんだったの含めて良い。第一印象最悪の出会い→ねねちゃん「お前おもしれー女だな」な展開とかも合わせて関係性が"女女"ぽい。
    まとめ方も、サキちゃんは母親に愛されていると信じることができて、悪夢が消えるのではなく闇もまた自分的なノリで融合浄化しちゃうでもなくて「うまくやっていけそう」という落としどころが良かった。(結果的には融合浄化と一緒なのでは?という視点もあるが、自分の暗部に対して少し他人事な言い回しがとても良い)
    たとえどれだけ愛情があろうと母の死が自分のせいであることには変わりないけど、それでも自分の罪と付き合っていけるだけの支えは得られたという決着が好き。


  • F:ちょー嵐を呼ぶ 金矛の勇者(2008)初見
    アマプラの映画クレしんでこれだけ星2だったから身構えながら見た。まあこういう評価になる理由は分かる。
    まず間の使い方が異常。全体的に0.8倍速してるかのような映画で、そのせいでただの場面転換でさえもシーンのぶつ切り感が強く感じられて見てて違和感が強かった。みさえのシロクマの下りで「あっこの不気味さ以外の所々に挟まる異物感ってシュールギャグっぽさの表現?!」と思ったけど、そういう見方をしてもただただ変なだけで面白くはなかった。
    初期クレしんっぽさ一点のみでFに置いてるけど、なまじ雰囲気だけはちゃんと作り上げられてるだけに、すぐ下に書いたヘンダーランド作った人がこんな絞りカスみたいな映画作っちゃったという悲しさが強く感じられて余計に評価したくなくなる。評価点が評価を下げるという謎の状態。

  • S:ヘンダーランドの大冒険(1996)視聴済
    金矛を見て「もしかしてヘンダーランドも思い出補正なのでは!?」という不安が芽生えてしまい確認のため見た。
    やはり楽しい映画。不気味さもありそれでいて敵の倒し方も捻ったりしててバトルもちゃんと面白く、熱い展開を外さずキャラが言動面白くて掛け合いが見てて飽きないない。
    ヘンダーランドと金矛の違い、色々あるけど大きい点としてはトッペマとマタそれぞれの出会い方の違いかなと思った。
    トッペマはどんな偶然だろうと曲がりなりにもしんちゃんが自分から行動した結果の出会いと共闘。マタはしんのすけが偶然選ばれたから父の想いのためにもしんちゃんを助けるという経緯。視点人物側から能動的に動いた結果巻き込まれたのとひたすら受動的に巻き込まれただけなものの違いということ。(後者だとヤキニクのような作品もあるが、ああいうのは巻き込んだ側と敵対する話。後者のタイプなのに巻き込んだ側と共闘する話だとハイグレや雲黒斎などの初期作が挙げられるがやはり今見ると少し微妙に感じる)

  • G:嵐を呼ぶ 歌うケツだけ爆弾!(2007)初見
    こんなお出ししたお話の前提を適当にぶん投げて終わるのって許されるの!?!?というのが見た直後の感想。
    アマプラの評価だと星3になっているが、正直退屈さではどっこいな星2の金矛のがあってないようなものだけどテーマや舞台設定を裏切らなかった分だけ10倍マシにみえた。
    功利主義への反抗をヒューマニズムに絆されて~って流れにするの自体は別に普通だけど、爆弾をロケット発射前に外すというシロOR世界って前提を終盤突然ひっくり返した挙句功利主義側を急に矮小化して、問題が「計画通りにいかないのが人生」とかいう全然関係ない要素にすり替わって論破してたの見てて唖然とした。ゲストキャラの不快感も高い。不快さでG。

  • B:オラの引越し物語 サボテン大襲撃(2015)初見
    しん風映画
    というのはさておき、序盤の引っ越しとメキシコでの生活の件割と良いと感じたのでパニックものになったのはちょっと面食らった。終盤までは正直この路線はあんま好きじゃないなあって思いながら見てたけど最後生き残りで手分けして協力する展開は何だかんだ爽やかだった。
    最期の一手が風間くんとの友情の証春日部防衛隊のバッジだったのも熱い。
    だが終盤までは(なんでこれが興行収入最高なんだ…????)と思ってたし実際に見終えると結構爽やかな視聴感で嫌な気持ちはなかったけど最高!って感じでは全然無かった。
    ただ間違いなく良い映画だったとは思うし、興行収入も相まって指標として便利なのでこの映画がBランク筆頭。これ以降サボテンラインというワードが度々出てくるのでよろしくお願いします。
    この映画だとサボテンは虚無から生えてきた何の理由も意志もないモンスターけど映画ドラだったら絶対環境問題の産んだモンスターだった…みたいなしょーもない教訓で〆てた(言いがかり)

  • D:爆発!温泉わくわく大決戦(1999)視聴済
    途中まで「本当にまったく内容記憶にないな…」って思ってたけど敵のボスの動機の下駄箱のくだりだけ覚えてて「あ~~~これか~~~!」ってなったのが一番テンション上がった。
    ギャグで一番フフッて笑えたのが中盤の自衛隊ゴジラの件だけど、この映画前半のがお話動いて面白くて中盤の怪獣映画パロになったとたん急に退屈になる。
    ゲストキャラも半分くらいイマイチな状況で、特に敵キャラは出オチなキャラ付けだけ見せつけられて巨大ロボに乗ってからキャラ性が無になっていて残念。 あと温泉Gメンの草津、時代もあるしフラットに見ようと思っててもあまりにもパターナリズム家父長制の権化すぎて若干笑ったし、飄々としたやり手のボスみたいな面してて全然活躍しないのでマジで良い印象がない。
    ボーダーラインにはギリ届いてない。


  • C:ブリブリ王国の秘宝(1994)視聴済
    後半の遺跡のシーンは少し覚えてたので若干なつかしさがあった。温泉よりは上だと思ったけどこれは僕が単にインディ・ジョーンズな感じの雰囲気が好きだからっていうのが大きそうだ。
    ただしんのすけの活躍ちょっと弱くねというか、しんのすけが鍵として巻き込まれた話なのに後半野原一家の置物・部外者感あるのは残念要素。(これは後のスパイ大作戦でも出てくるしんのすけ舞台装置化問題)
    ブリブリ王国、温泉とどっこいだろと言われたらまあそうかも感があるけどモチーフの作風以外にも味方キャラが不快かどうかという問題があって、スンノケシ王子やルルさんには特に嫌な気持ち無かったけど温泉の草津は魅力ないし終盤とか画面に映ったらちょっとイラッとする。
    また、ブリブリ王国は2作目だからかひろしとみさえの関係に"性"の雰囲気がちょいちょいあった。

  • D:伝説を呼ぶブリブリ 3分ポッキリ大進撃(2005)初見
    勝手にギャグ特化だと思っていたけど別にそこまでふざけ倒した映画という訳でも無かった。
    映画クレしんの凋落の始まりとかレビューに書いてあったけど、見た感じ「面白い!!」って訳じゃないけどそんな特別貶すようなもんでもないかもっていうのはこの後に続く作品たちのことを知ってるから出てくる感想なのかもしれない。
    テーマの“正義“についても、最後の偽しんんのすけ助けたときのセリフは流石にとってつけた感あったけど、ネグレクトから奮起して赤ちゃんのひまわりを介護していくことで弱者を助ける精神に目覚めるって流れは普通に理解できる。
    でもオトナ〜カスカベの流れで3分ポッキリが出てきたら確かに悪く言ってしまう気持ちは分かる。
    また、みさえは割と色んな姿に変身しててバリエーションあって良かったけどひろしだけワンパターンでそこは残念だった。
    酷評に反して話は結構まとまってるって印象。未来マンが嫌な奴だけど、”ヒーローになって戦う”ってことの楽しさは分かるからそれにのめり込んじゃう気持ちは理解できた。ただ3分先の未来って舞台設定を(未来・子どもを守る~みたいに繋げてはいたけど展開的に)うまく扱えてはいなかった。

  • D:バカうまっ!B級グルメサバイバル!!(2013)初見
    勢いのある畳みかけるようなギャグではなく展開のバカバカしさシュールで笑わせる系なのか…??
    だがもしそうならそこまでギャグに徹しきれてないように見えた。
    監督のインタビューに”浦沢さんの大筋をベースにうえのさんがしんちゃんらしくアレンジした”と書いてあったけど、原作キャラに忠実になった結果浦沢さんの展開の異常さや間の悪さが削がれたって感じかもしれない。
    敵ボスの毒親に抑圧されたことと実は焼きそばを食べてみたかったこと、ラストの「やっぱり美味いじゃないか…」ってセリフは中村悠一の演技含めて少ない描写ながらちょっといいなと思った。
    B級グルメ対A級グルメの視点でみると結局秘伝ソースていう伝統的なものに頼っちゃってるからそこはテーマ的にダメだと思った(ぱっと作れてぱっと食べれるのがB級って作中で定義してたけど秘伝ソースはぱっと入手できないでしょ)
    正月から映画クレしん三昧だったけど途中でスマホ触った時間多分これが一番長い。

  • E:伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!(2006)初見
    “サンバを使ったパニックホラー“な1時間が結構良かったのに、肝心のサンバそのものの最後30分が投げやりで締まらない。
    しんのすけの言葉で自分の踊りに気付かされるとかそれ自体は特別文句言うようなことではないけど、あまりにもその要素へ話が繋がらなさすぎだし、そもそもみんなで踊る楽しさでラスボス倒すにしてもサンバじゃなくて春日部音頭で倒すってタイトルに偽りあるのでは?
    コンセプトとやってることに対してのテーマの食い合わせが悪いというか、サンバの映画なのにサンバの扱いがいい加減である。そこさえちゃんとしてたらサボテンラインに届くだけのポテンシャルはあったのにという惜しさがある。
    監督のムトウユージさん、他の2作でも思ったがお話の盛り上げ自体はそこまで下手じゃないけどまとめ方に問題というか、コンセプトやテーマに対してちょっと不誠実。

  • F:オタケベ!カスカベ野生王国(2009)初見
    「オトナ帝国と比較してみてほしい」「ひろしに重点置かれててみさえが割り食ってる映画結構あったからバランスのためにみさえを重視したんじゃないか」とTwitter相互の人から言われていたので実際見てみると確かに意識してるんだろう感はあった。
    あまりにも差が歴然としているが……。
    ひろしの足の臭いから回想の流れと、みさえの顔にしんちゃんの尻当たってからの回想の流れ、そこに至るまでの文脈の差を抜きしてシチュエーションのみで見てもオトナ帝国に負けてる。
    多分、前者は本人の性質で後者は他者との関係性(子どもとの関係性)の性質っていう違いが大きいかなと思う。
    ひろしの足の臭いは本編過去作いろんな映画で描かれてたし何より本人の性質だったけど、この映画でのそのポジションである「しんのすけの尻が顔に当たること」は(野生王国では成立するように一応序盤に前振りあったけど)そこまで強調されたものでもないし、それはしんのすけの行為であってみさえの性質ではない。子どもと親両方揃ってこそ成立する行為とまとめると悪くない気がしないでもないが、野原一家って一般論な関係性”だけ”の人らではないし。
    ちょっと下品な要素を使うってのはクレしんらしいかもだけど、全然個人の欲が見えない、俗っぽくないのが規範臭さを脱臭しきれなかったのかも。
    自分の特性で自分の人生を振り返って振り払い難いものを振り払ったっていう"ひろし"を描いていたオトナ帝国に対して、回想でも子に対する親っていうみさえというより"母親"という役割を描いてしまった野生王国という構図。
    あと、環境問題を訴える文明回帰論者が敵だったけど、終始敵側の主張を馬鹿にしていた割にはラストで急に「環境問題と向き合っていかないとな~」って締めるの何……??

  • E:超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁(2010)初見
    未来のカスカベ防衛隊が出てくるのに関係性の描写少なくて、特にまさおくんねねちゃんの出てきただけ感半端ない。風間くんも登場時敵側ポジションでそこから寝返るっていう美味しい立ち位置なのにあっさりだったし。というか現代の防衛隊も、未来の自分たちに発破かけるのかと思いきや別にそうするわけでもなく…。
    少し凝ってる未来の設定や、未来の主要人物や過去の自分と出会うっていう普通に魅力的な要素の扱われ方がショボくて残念な作品。
    ただ、唯一未来のしんのすけが粉みじんになった(と思われた)場面で「オラは死なない!」って言いきるシーン、ああいうもう取り返しのつかない状況で根拠ない自信を失わないっていうの好き。
    作者の臼井儀人さん死後最初の映画なのも踏まえてみるとってレビューに書いてあって、そういう文脈踏まえるとなるほどなというシーンではある。つまらないけど。


  • C:嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦(2011)初見
    結構悪くないというかむしろちゃんと終わりも爽やかに感じられて良かった。
    レモンちゃんの親の心変わりはそんなもんかって描写だけど一応説得はあったから変ではない。
    しんのすけを舞台装置にしたメリットをかなり活かせていた。前半しんのすけ騙されててほぼラジコン状態だったけど、ゲストキャラ側のレモンちゃんの話をメインにできてレモンの心情変化も描けてたし、しんのすけと一緒に活動してるから疎外感自体はあまりない
    ただ、しんのすけが舞台装置になるとゲストキャラは掘り下げられやすくなって問題解決すると「良かったね」って思えるがそのかわりそれで感想が終わってしまい、上限が決まるのが問題。
    見た当初はサボテンラインには届いてるんじゃないかと思ったけど、しんのすけ舞台装置問題踏まえて考えるとC。


  • E:嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス(2012)初見
    セカイ系をやりたいのか!?って感じだった。
    世界の存続と一家族の幸福の二者択一なお話や、後半のひまわり星にワープする際の謎空間や大臣達と対決するときの固有結界での「自分は本当はどう思っているのか」「自分とは何者なのか」的問答がそういう雰囲気だった。
    兄だから妹を守る、っていう道徳の教科書なことすら描き方がふわふわしてるからラストの「ひまが”おにい”って言った~~!!」ってオチが白々しい。そこをセカイ系成分で持たせたのか……。 とか見た当初は思ってたけど、暗黒タマタマ見てから割と見方が変わった。
    暗黒タマタマではひろしによるよくある説法で妹を守ると心変わりするが、宇宙のプリンセスではしんのすけの過失や会えない期間憔悴する親と複数の要素絡めてひまわりを取り戻すと決意させたのが、兄の役割ではなくしんのすけの個人的な感情という局所の解にできてると思えて再評価したくなった。最後の「お前は誰だ!!」「オラは野原しんのすけだゾ!!」って問答を意味わからないくらい繰り返してたのは兄だから妹を連れ戻すのではなくて野原しんのすけだからひまわりを連れ戻すんだっていうことなんじゃないかと。まあ兄という属性は否定してないっぽいが。
    見た直後の感想では兄妹モノとしてみるとふわふわしてる結論とか思ったけど、兄妹という枠組みのみの関係性ではないんだからそうなって当然だったのかもしれない。
    とてもつまらないけど目指したものは悪くないかもしれない。噛めば味はある。そんな位置。


  • A:暗黒タマタマ大追跡(1997)視聴済
    登場人物多めな割にキャラの配置に無駄がめっちゃ少なくてすごい。
    敵味方全員に可愛げ面白味があるし全員に、悪役なら悪役なりの悪い見せ場あるし味方や野原一家には最低でも2回以上は活躍と呼べるのもがある。暗黒タマタマを思うと宇宙のプリンセスの大臣達のキャラの死にっぷりが悲惨。
    ただ、歌で倒す流れはちょっと強引だった。
    またオカマネタも初期作の中でもかなり強めでキツい。そういう属性で笑わせにかかるの”昔の作品”って感じる……。


  • D:襲来!!宇宙人シリリ(2017)初見
    ひろしとみさえが精神年齢そのままに子どもにされてしまって宇宙人と一緒に家族で旅する、というシチュエーション自体は楽しそうだけど途中ですぐしんのすけとひろしみさえが分断されていつもの絵面になってしまったのが残念だった。
    テーマ的には自立みたいな話。地球人を見下していたシリリが旅の中しんのすけとの交流によって友情が芽生え親から自立するという流れだったけど、肝心の親が完全に論破されるためだけに出てきたようなやつで倒しても「そう…」っていう気持ちにしかならない。
    また、カスカベボーイズの映画好きのおっさんや温泉Gメンの二人とか過去キャラがちらっと出てたけどなんかそういう企画だったのか?
    お話的には宇宙のプリンセスとかよりは上かなと感じるけどツイッターでの参照価値(カスみたいな価値観)は宇宙のプリンセスのが断然上。

  • B:雲黒斎の野望(1995)視聴済
    初期クレしんの中でも普通に好きだった記憶あるので「あーやっぱ良いな…」と思う反面、正直まあこんなもんかと感じるところはあった。
    ただブリブリ王国思えば(あれも別に特別悪いとは思わんけど)普通に良い。吹雪丸良い奴で可愛かったし、しんのすけもちゃんとメインで活躍してたし。
    ブリブリ王国らへんの位置って雲黒斎でいうと戦国パートで終わっちゃったみたいなお話なんだなという再確認があった。
    あと、見てた当時はそんなこと全然思わなかったけどシナリオが一番ゲームっぽいと感じた。

  • C:爆盛!カンフーボーイズ〜拉麺大乱〜(2018)初見
    真面目過ぎて洗脳光線ウーマンになったランちゃんを防衛隊がさらに洗脳し返したのは笑った。
    珍しくまさおくんに焦点当たってたけど、まさお君のテーマがランちゃんの洗脳光線を否定する「地道にコツコツ」っていう先の長いすぐに見返りの無い行為をひたすら続けることってことなのに、オチで町内住民全員ダンスで平和思考にしてランちゃんを正気に戻したのは「地道にコツコツ」に反してるのでは……??
    オチのためにテーマと描写に矛盾が出たなって感じたけどまあそのオチは爽やかっぽくなってはいたので致命傷ではない。
    あと中盤の中国に行って奥義の力を得るシーンだけど、問題解決のための力を貰いに行ってたのにしんのすけはいつものギャグノリで放棄してて自分からパスポート取りに行ってたのに流石に意味不明すぎというかヒロインを暴走させるための舞台装置感が強く感じた。そういう視点で見るとスパイ大作戦と似たような位置ってところか。
    最後に、カンフーを習って動きにキレが出たって理由付けはあったけど、これまでの劇場版でケツだけ星人の動きで脱力させるっていうの通用しない敵普通に何人もいたしそれを重要な技扱いされるのちょい今更感あった(老害並感)

  • A:嵐を呼ぶジャングル(2000)視聴済
    ジャングル以外でひまわりがギャグ描写抜きの割とシリアスな場面で異常な身体能力と知性を発揮してるの他にあんまり思いつかないくらい大移動しててちょっと面食らった。春日部防衛隊では年齢に対しての身体能力のギャップなど全然思わないけどこれってひまわりは基本ほとんどの作品で庇護対象としてのポジションだからなのかも。また、何だかんだ春日部防衛隊が活躍する場面はギャグノリを強くするかファンタジー的理由があるからかも。
    あと、パラダイスキングが良いヒールだったのでこうして見るとちょっとアクション仮面はキャラ弱いな…と思った。「アクション仮面は架空の存在だ」って郷剛太郎は言ってたけどその要素もうちょっと拾ってほしかったな……。


  • B:アクション仮面VSハイグレ魔王(1993)視聴済
    一番思い出補正強かったと感じた。
    特殊性癖金字塔への畏怖の念……は冗談として、良くも悪くもパイオニア作品だなあという感想。雲黒斎ヘンダーランドらに続く映画クレしんとしての空気は間違いなく感じたし、特に中盤までの日常から非日常への導線の引き方や不気味さは特に色濃かった。しかし、全体的に淡々としててまあこんなもんか…って感じ。さっき持ち上げた中盤までもいい持ち味だったけど、それ以降の作品見まくったせいで濃度に難ありな感じ。見る前の記憶だけの判断ではAに置いてたけどB、人によっては(急に第三者視点を持ち出す)Cってところか。

  • S:電撃!ブタのヒヅメ大作戦(1998)視聴済
    こっちは逆に思い出補正あったとか全然感じなかった。ギャグはキレあるし展開も楽しいしゲストキャラは味方も敵もめっちゃ愛嬌あって良い。コードネーム筋肉さんのトイレのくだり思い出よりもめっちゃ早い段階でやってて、序盤の時点で密度濃!!って思えた。クライマックスも、ブタのヒヅメの計画を潰すという大局の勝利と、コードネームお色気さんがママに勝つというバトル面での勝利両方が重なってて気持ちよかった。
    ただ子どもの頃の思い出だと大袋博士ってスリッパしか印象になかったけど、ちゃんと自我をもって見ると世界秩序よりも自分の研究欲優先するしセクハラがヤバいし最後ちゃっかりSMLに所属?してるっぽいしマジでクソだな……ってなった。
    あと、しんのすけって基本悪ノリ強めな感じの人なのにブリブリざえもんオリジンストーリーは”宝物は人々からのありがとうという言葉だった”って道徳の教科書みたいな話にまとめてるのちょっとおもしろかった。しんのすけも彼なりの正義感あるし不義を感じたら怒るとは思うけど、それを自分の趣味に当てはめるかなあ…??

  • A:ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん(2014)視聴済
    ロボとーちゃんは去年見たばっかだし最初は見返す気なかったけど、これだけ今年見返してないの気持ち悪いなと思ったので見た。こうして色々な作品見てからだと、初見時よりも「頑張ってるな~」感が強い。ゼロ年代後半~テン年代前半のなかでボーダーライン超えられてるの僕的にはギリギリでスパイ大作戦くらいだったから、そういう流れでこのレベルの作品が出てきたとなるとまあ確かに見る目は変わる。志は低いけど。
    一つのテーマでお話を持たせることの是非、まあもちろん作品によるんだろうけどロボとーちゃんの場合はサブテーマとの配分をちょっとミスってるよなーと感じる(ので一つのテーマでやった方がよかった気がする)。父親云々は最後の結論に全然納得できないし、スワンプマンは最後日和って消える側に判断押し付けるし、しかも人間の方のひろしは描写足りないしで、全体的なまとまりはあると思うけど(多分まとまってるからこそ)所々文句付けたくなる。
    あと敵の倒し方、そこはケツだけ星人じゃなくて合体で倒せよ…。

  • A:嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード(2003)視聴済
    ヤキニクは見る前から思い出補正強そうでみるの怖かったけど、実際見てみると案外記憶通りの楽しさが色濃かった。所々普通に笑ったし、追いかけっこもあんまりダレてなかったように思う。ただ終盤は笑えはするけどテキトーだな…感は否めない。まあ「家に帰って焼肉食べる」以上の話ではないところが持ち味であるし、巻き込まれ方が超理不尽なのもあって見てて頑張れ~って思えるが。 ちょっと迷うのがこれこそB級って雰囲気の映画なんじゃないの?って考えてしまうところ。そういう作品をSに置くのおかしくね?と悩んだ結果Aに配置(結局Bじゃないのかよ)

  • SS:嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦(2002)視聴済
    格が違う
    戦国、オトナとの比較で「クレしんであること」の一点でランク一つ下げてたんだけどこうしてみると結構クレしんでないといけないなと思う。というのも、タイムスリップについて最後エモい感じにまとめてたけど結局全然説明無いし、戦国時代の人らは異常に物分かりがよすぎるししんのすけの失礼な態度許すしで、クレしんのノリじゃないとキツそうな構造だな~って思った。実写の方は見てないけどそこらへん大丈夫だったんだろうか…

  • SSS:嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲(2001)視聴済
    テーマ性とエンタメとクレしんを全部成立させてる化け物みたいな作品。
    野生王国でも書いたが、ここぞってところで俗っぽいのがとても重要。しんのすけが未来を望む理由を言う場面にて、家族と一緒に居たいという気持ちと同じくらい大きな綺麗な女性と付き合いたいという欲望っていう結論あってこその作品。家族愛の規範ももちろんあるだろうけどそれだけじゃない、個人的な価値観で判断している風を出すことで、テーマの押しつけがましさを克服できているんだなという。
    最後に自殺しようとするケンとチャコを「ずるいぞ!」と言って止めるの、しんのすけは別のトンチンカンな意味で言ったけど今を謳歌している人がもう居場所をなくしてしまった人に対して逃げるなっていうの結構残酷な構図。

  • D:新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜(2019)初見
    全部見ると決めたときはオトナ帝国で気持ちよく終わろうと思ってたけど、最後に懐古して終わるの傍から見てキツイな…って思ったのでトリは最新作にした。(最新作なので配信まだやってなくてTSUTAYAまで借りに行った)
    インディジョーンズ風っていうコンセプト色強めのサボテン大襲撃系の作品。というか橋本監督って思えば担当作どれもコンセプト強めな気がする。
    感想としてはそこまで悪くはない。家族愛というより夫婦愛に着目してるの割と新鮮で、野原夫婦がラブラブ過ぎて2人だけの世界になってる!!という描写は久々な気がしてよかったし、とても理不尽な理由で巻き込まれてて可哀想だったのもありみさえの奮闘は応援できた。
    でも振り返ってみると、新婚旅行っていうめちゃくちゃ今更過ぎる要素持ってきてこれってどうなの。
    ゲストヒロインのジュンコとみさえに段々友情が芽生えていくのは良かったが、キャラが基本的に不快。ジュンコもまあ第一印象最悪だったし。彼女だけは苦難を共にしたから友情っていうフォローができたけどそのほかのキャラはみんなモブのザコ敵みたいなもんだし……。
    オチも弱いし、最初Cって思ったけどDってとこかな…。

まとめ

全体的に、良いと思えるB以上の作品群、ボーダーラインのCを含めると半分以上はそれなり以上の満足感を得られて一気見もいい体験だった。
一気見してて思ったのが、映画クレしんって土壌が強いってのがある。
「そもそもの舞台設定に無理がある」「展開を優先した結果、描写に無理が生じる」っていう没入感を削がれるポイントをギャグで誤魔化せる。また、オトナ帝国でも書いたけどしんのすけ達って基本下品だから「俗っぽさ」を推しだしやすく、規範を奨励する話運びでも”個人的に選択した結果”他のものよりも家族を取ったって結論にしやすい。(まあそうなってない作品もあったけど…)
2020年のラクガキングダムはどんな映画になるのだろうか。

以上!!